
葬儀の意味とは
葬儀というのは死後数日の営みだけをさす言葉ではありません。
もっと深く、もっと広い意味をもった言葉です。
亡くなろうとする人を看取り、遺体を清め、通夜をし、葬儀式や告別式を営み、火葬に付して、またその後四十九日、一周忌……と続く、死によって生じる一連の作業のことです。
死別の悲しみ
家族や親しい仲間を失うことは、残された者に深い心の傷、悲しみ、嘆きをもたらします。
これは人間である以上あたりまえの感情です。
この悲嘆を抱えながら、死者を送り出す営みが葬儀です。
したがって残された者が、死者に想いを集中し、死別の悲しみを大事にして営むことをもっとも大切に考えたいものです。
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本人・遺族の想い
葬儀の形態は民族・時代によって変わり、とくにいま、大きく多様化が進んでいます。
どの形がいいかということはいちがいにいえません。
死者本人の、残す者への想い、遺族の死者への想いを生かすことが優先して考えられるべきでしょう。
葬儀の多様化が進む
伝統的な葬儀
長い歴史をもち、現在も日本人の間でもっとも多く行われている葬儀です。
宗教儀礼をするのも、人間の命を大切にし、人の死を人知を超えたものとして魂の救いを必要としたからです。
伝統的葬儀では、親戚や近隣の人が何をおいてもかけつけて、遺族を思いやり、助けました。
しかしいまはそうした助け合いはまれになりました。
いまの葬儀は、斎場葬が多くなり、自宅で行うのは少数派に。
また、葬儀に精通する町の長老や親戚が少なくなって、葬祭業者に委託し、行われるケースが圧倒的です。
自分らしい新しい葬儀
伝統のよさに、自分らしさをプラスするのが近年の改革型葬儀です。
無宗教で行う葬儀や、家族葬などが少しずつ増えていく傾向にありますが、これらの葬儀は新しい方式なだけに、周囲を説得するには、かなりの強い意志が必要です。
また、自由な新しい形だからこそ、しっかり準備をしなければならないでしょう。
葬儀に対する意識の顕著な変化は、次の4点です。
①斎場葬が多数派に。
②個人化傾向が強まる。
③葬祭業者への依存度が高まる。
④生前予約の希望が増える。
お墓にも新しい波が
先祖伝来の家墓にも、少子化、核家族化、離婚が増えたことなどが影響して、新しい変化が起こり、個人化傾向が強くなってきました。
ただし、お墓の形態がどう変わろうとも、お墓が亡くなった人と生きている人の心を結ぶ役割を果たすものであることに変わりはありません。
そんなお墓の役割を、ぜひ大切に考えていきたいものです。
葬儀の役割
①死を受けとめる/医師に死を宣告されても、家族はその死をなかなか受け入れがたいもの。
ですから遺体を家に安置して見守り、通夜をします。
本来の通夜は、近親者が死者のそばで過ごすことです。
②死者を送る/死者をこの世からあの世へ送り出すのが葬儀式で、しばしば宗教的儀式を伴います。
③死者と別れる/死別を悲しむのは、家族だけではありません。
生前関係のあった人たちが、死者とお別れをし、遺族の悲しみへ共感を寄せるのが告別式の機能です。
④遺体を葬る/遺体は死後しばらくすると腐敗を開始します。
死者の尊厳を守るためにも、遺体を火葬に付します。
⑤悲しむ/死者と近い関係にあった人、とくに家族は、別れに際して心を傷め、悲しみを深くします。
これは葬儀が終わってからも続きます。
このため四十九日、一周忌などの喪があるのです。
エンディングノートをつくる
本人の意思を記す
「遺言」は、遺言者の意思を法的な拘束力をもって執行させるのが目的です。
そのため内容に制限があり、書式にも厳密な規定があります。
せっかく遺言しても、法的拘束力をもたない事柄には強制力はなく、書式が正しくないと、無効になります。
それなら、法的拘束力のない事柄については、エンディングノートに記載しておいてはどうでしょうか。
法的な拘束力はなくても、本人の意思ですから、家族などには、強い精神的な強制力を伴うものになります。
家族・親族間でもめごとになりやすい終末期の処置、葬儀のやり方、故人の遺品の処分なども、エンディングノートがあれば、まるくおさまることがあります。
エンディングノートの置き場所は、ふだんから家族に伝えておきます。
1冊のノートにまとめる
自分は人生の終末期をどう過ごし、どこで死を迎え、死後をだれにどのような形で託したいか、細かく具体的に記載します。
本人の意向がわかれば、家族はいざというときの対処で迷ったり、悩んだりする必要がなくなります。
パソコンで作成しても手書きでもいいのですが、パソコン作成だと、次の点で確実性が劣ります。
①パソコンのどこに保存されているかわからないことがある。
②操作ミスで文書が消されてしまうことがある。
③他人に改訂される恐れがある。
以上のような理由から、手書きがお勧めです。
ただし、内容が多岐にわたるので、後々内容を変更する場合にも対応しやすいように、項目と項目の間は十分にあけて書くようにしましょう。
記入しておく内容は
記入しておきたい内容は、左上の表のとおりです。
とくに、どこでどのように死にたいか(自宅に戻って死にたいなど)や、葬儀やお墓への考え方などは、エンディングノートに書くだけでなく、折りに触れ、家族とよく話し合っておくことです。
遺産相続については、法的拘東力のある遺言を残すようにします。
エンディングノートに記入する項目例
①任意後見人の名前
②加入している介護保険のこと
③尊厳死の意思の有無
④献体登録の意思の有無
⑤臓器提供の意思の有無
⑥死に場所の希望
⑦最後に会っておきたい人
⑧臨終に立ち会ってほしい人
⑨訃報を知らせてほしい人と不要な人
⑩葬儀に対する希望
⑪喪主はだれにするか
⑫通夜・葬儀の場所への希望
⑬葬儀の費用のこと
⑭面会葬返礼品・香典返しへの希望
⑮お墓への希望
⑯形見分けリスト、など
「生前葬」とは
1993年に、プロデューサーの水の江滝子さんが行って有名になりました。
いまなお語り継がれるその生前葬は、前半は式次第に従っての葬儀、後半は復活祭として誕生日を祝う、にぎやかなパーティーが行われたといいます。
人間は高齢になり、体が弱ってくると「生きて元気なうちに、お世話になった人に会ってお礼を言っておきたい」と思うようになります。
生前葬は、そんな気持ちから自分や家族・友人が企画し、主催するエンディングイベントといえます。
古希や喜寿のお祝いを兼ねて行うことも多く、葬儀とはいえ、明るくなごやかな会になることが多いようです。
実際の死に際しては、「家族葬で」と考えるときは、その席で来会者に了解を得ておくとよいでしょう。
仏教徒なら、生前葬で授戒会(戒名を授かる儀式のこと)をして戒名を授かっておくのも意味があります。